投資信託の基礎1 - 投資信託ってなに?
投資信託の実質コスト
投資信託の主なコストには、「販売手数料(購入時手数料)」、「信託報酬(運用管理費用)」、「信託財産留保額」の3つがあると紹介しましたが、実は、その他にも表に出てこない隠れコストがいくつか存在します。
この隠れコストは運用報告書の中にしか書かれておらず、表に出てくることはほとんどありません。では、どのような隠れコストがあるのか実際に見ていきましょう。今回隠れコストを見るのは、国内屈指の純資産総額を誇る「フィディリティ・日本成長株・ファンド」です。
表に出ているコストに関しては、「販売手数料」、「信託財産留保額」が無料で、「信託報酬」は1.648%となっています。ただ、これはあくまで表に出ているコストであり、隠れコストも見てみないと実際のコストは分かりません。
2015年11月30日に公表された運用報告書(PDF)を見てみましょう。資料の2ページ目をご覧ください。ここに「1万口当たりの費用明細」というものがありますね。ここに隠れコストが書かれています。
ご覧いただけますように、「(a)信託報酬 313円」の他にも、「(b)売買委託手数料 23円」「(c)有価証券取引税 0円」「(d)その他費用 1円」など、いろいろ隠れコストが発生しています。これらは信託報酬と同様に、投資信託を購入しているあいだ、常に発生するコストです。そのため、一般的にこれらすべてを合わせたコスト(または、基準価額に対する比率)を実質コストと呼んでいます。
ちなみに、実質コスト[比率]の求め方は、以下の計算で求めることができます。
基準価額×信託報酬率=信託報酬額
→基準価額=信託報酬額÷信託報酬率
実質コスト[比率]
=実質コスト[金額]÷基準価額×100
=実質コスト[金額]÷(信託報酬額÷信託報酬率)×100
=実質コスト[金額]×信託報酬率÷信託報酬額×100
=337円×1.648%÷313円×100
≒1.77
今回ご覧いただいた「フィディリティ・日本成長株・ファンド」の場合だと、表に出ているコストは信託報酬率1.648%だけですが、実質コストは1.776%あります。当ファンドは、表に出ているコストと実質コストにそれほど差がありませんでしたが、中にはこの差が大きい投信もありますのでご注意ください。