全世界株式はおすすめしない?オルカンとS&P500どっちがいいの?
当サイト『やさしい投資信託のはじめ方』では、イチオシ銘柄として「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)※」を紹介しています。しかし、世間には「全世界株式はおすすめしない」、「S&P500のほうがいい」という意見をお持ちの方もいらっしゃいます。
※通称「オルカン」
このページでは、「全世界株式をおすすめしない人の意見」や「S&P500とどっちがいいのか」といった内容を解説しています。
全世界株式(オルカン)をおすすめしない人の意見
インデックスファンドへの投資において「全世界株式型」は王道と言われています。しかし、「全世界株式をおすすめしない」とおっしゃる方もいます。
見当違いな理屈の批判も多々ありますが、一考の余地がある意見に「米国株、特にS&P500に連動するインデックスファンドに投資したほうが良い」という考えがあります。
分散させてもリスクが低くなっていない
全世界株式型のファンドは、組み入れ銘柄数が多いにも関わらず、あまりリスクが低く抑えられていないと指摘されています。これは、S&P500はアメリカの大型株から構成されているのに対して、全世界株式型には新興国株や中型株※といったリスクの高い銘柄も組み入れられるためでしょう。
※連動対象によっては「小型株」も組み入れられる場合がある。
たとえば、コロナショックと呼ばれる大きな下落相場(2020年1月~3月)において、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は以下のような値動きとなりました。
このように、分散によるリスクの低減が見られないことがデメリットとして指摘されています。
リターンも高くなっていない
リスクが高い新興国株などにも投資しているのであれば、リターンが高くなることを期待される方も多いでしょう。しかし、過去のパフォーマンス※を見ると、以下のグラフのように「全世界株式」よりも「S&P500」のほうがリターンは高かったのです。
※2011年10月末~2021年10月末
過去のパフォーマンスでは、「全世界株式」は「S&P500」にリターンの面でも劣っていたのです。
さらに言えば、S&P500の構成銘柄に採用されるレベルの米国株は、流動性が高く世界中から資金が集まっており、国際的なブランド力を持っています。よって、「S&P500銘柄に投資するだけで、実質的にグローバルな投資ができている」という見方もできます。
このような理由で「全世界株式」よりも「S&P500」のほうが良いと言われるのです。
S&P500(米国株)とどっちが”最強”?
「結局、『全世界株式』と『S&P500(米国株)』では、どっちが最強の指数なんですか?」とのご質問をいただくことがあります。
はっきり言ってしまうと、どちらも“最強”ではありません。
最強の指数とは
おそらく最強の指数は、現時点で誰も見向きもしていない、かつ今後の成長が著しいテーマの株価指数となるでしょう。しかし、未来を確実に予測することは不可能であり、最強の指数とは“絵に描いた餅”のような存在です。
このように“最強”の投資先が分からないから、投資対象が分散された指数に連動する銘柄(インデックスファンド)に投資するのが無難なのです。「全世界株式型」と「S&P500」を比べると、より投資対象を分散させているのはどちらでしょうか?
それは「全世界株式」です。
このような考え方で、当サイトでは「全世界株式型」のファンドをおすすめしています。
とは言っても、ご自身が納得できるほうに投資されることが大切です。よろしければ、以下のページも参考にご覧ください。
新NISAの積立は「全世界株式のみ」でいいの?
新NISAで投資する銘柄は「全世界株式のみ」で問題ありません。
上の円グラフのように世界全体の約60%はアメリカとなっています。これよりも、さらに米国株に比重を傾けたい方は、S&P500に連動するインデックスファンドを組み合わせるのも良いでしょう。
なお、全世界株式型でおすすめの銘柄は、以下の3つです。
銘柄名 | 信託報酬 | 連動対象 |
---|---|---|
おすすめ eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
0.05775% | MSCIオール・カントリー ・ワールド・インデックス |
SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド | 0.1338% | FTSEグローバル ・オールキャップ・インデックス |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 0.191% |
銘柄の詳細、連動対象の違いについては、以下のページをご覧ください。
構成比率が変わる【国の割合】
当サイトのイチオシ銘柄「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスを連動対象としています。市場環境に応じて、連動対象の国・地域別構成比率は少しずつ変化するため、ファンドの組み入れ比率も変わります。
アメリカ | 62.5% |
---|---|
日本 | 5.0% |
先進国(除く日米) | 21.8% |
新興国 | 10.7% |
(2024年9月30日時点)
以下の図は、1899年末から2023年初までの株式市場の経年変化です。
1900年初頭、株式市場の規模が最も大きかったのはイギリスでした。しかし、今はアメリカが世界経済の中心となっています。
全世界株式型のインデックスファンドは、世界中の投資家の意思を反映させて中立的な構成比率を保ちます。よって、年月を経て株式市場の規模が変化すれば、それに応じて国や地域の割合を変えていきます。
全世界株式型のファンドには、市場環境の変化に合わせて柔軟な対応をしてもらえるメリットもあるのです。
当サイトでは、イチオシ銘柄として「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を紹介しているように、全世界株式型のファンドをおすすめしています。しかしながら、S&P500の銘柄も長期投資に適している投資対象です。ご自身が納得できるほうに投資されると良いでしょう。
この記事の執筆者
やさしい投資信託のはじめ方編集部
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