NISAで分配金を再投資する場合の注意点
証券会社によって異なる分配金の再投資方法
前のページでは、NISA口座で分配金を出す投資信託を運用した場合、複利効果が得られにくいということを書きました。とはいえ、分配金が出る投資信託を運用する場合も出てくると思います。そうした場合に、分配金が出るタイプの投資信託を上手く運用するにはどうすれば良いのか?その方法について少し考えてみましょう。
「分配金受取」と「分配金再投資」
分配金を出す投資信託の中には、【分配金受取】と【分配金再投資】という2つのコースがあります。前者は、先に紹介したとおり発生した分配金を受け取るものです。後者の分配金再投資は、運用で発生した分配金を元手として新たに投資信託を買い付けするものです。
どちらのコースも、分配金から税金を引かれた状態で受取or再投資となります。NISAであれば、分配金に対して税金が0%になるので、受取or再投資が通常の口座で投資するよりも有利です。しかし、再投資についてはNISAならではの注意点がありますのできちんと把握しておきましょう。
NISAの上限額や再投資先の口座に注意
NISAでは1年間に投資できる額に120万円の非課税投資枠の上限があります。すでにNISA上限額いっぱいまで投資をしている場合、120万円の枠内で分配金を投資することができないのです。また、証券会社によっては、分配金の再投資方法が異なるので、その点にも注意が必要です。
投資1年目に発生した分配金 | 投資2年目以降に発生した分配金 | |
---|---|---|
パターンA | NISA口座で再投資 | 分配金を受け取る年のNISA口座で再投資 |
パターンB | 課税口座で再投資 | 課税口座で再投資 |
パターンC | 再投資できない | 再投資できない |
パターンA 楽天証券・SBI証券・auカブコム証券・マネックス証券など
パターンB SMBC日興証券など
パターンC 大和証券など(大和証券には分配金再投資コースの取り扱いがありません)
そもそも分配金が自分の投資元本から支払われている場合もある
分配金をもう少し詳しく見てみましょう。投資信託の分配金には2つの種類があります。
- 普通分配金
投資信託の運用の結果生まれた利益を投資家に還元するもの - 元本払戻金(特別分配金)
文字どおり私たち投資家が投資した元本の一部から支払われるもの
NISAを利用した場合、普通分配金にかかる税金が非課税になります。元本払戻金は、自分の投資元本の一部が払い戻されるものですから、NISA口座か課税口座かに関わらず、そもそも税金がかかりません。それなら払戻金を受け取らずに運用してもらいたいですよね。
このもらってもあまり嬉しくない元本払戻金、これをNISAで再投資した場合どうなるでしょう?
1年間に120万円までの貴重なNISAの投資枠を使って投資することになります。これではNISAを有効活用しているとは言いにくいですよね。
NISAで分配金を受け取ることは、非課税のメリットを活用することになります。その一方で、分配金の内容や、証券会社ごとのNISAを利用した場合の分配金の扱いを知っていないと、非課税のメリットを十分に受けられない可能性もあります。分配金の出る投資信託をNISAで運用する場合は、以上の点に注意してください。