人気の高分配金利回りUSリートファンドに潜むリスク
日銀のマイナス金利の導入を受けて、高い利回りが魅力である不動産投資信託『REIT』に投資家の資金が流れています。そうした環境の中で、特に注目されている商品があります。
日銀のマイナス金利政策の導入で金融商品の利回りが低下する中、投資信託では不動産投資信託(REIT)で運用する商品への資金流入が顕著だ。特に、いわゆる分配金利回りの高い米国REIT投信の販売が突出している。4~6月期は売れ筋上位2本で、全投信の販売額の1割にも達し、業界では「高分配ファンドの二大巨頭」(大手投信会社)などと呼ばれている。
引用:2016年8月5日付けの日本経済新聞
高分配金利回りファンドの二大巨頭と言われているのは、「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」と「新光 US-REIT オープン (愛称:ゼウス)」を指しています。
(次の表、上にあるのが、フィデリティ・USリート・ファンドB、そして下が同じく多くの資金を集めるラサール・グローバルREITファンドの資金流入を表したグラフです。どちらも資金を多く集めているのですが、ここ数年でフィデリティのファンドへ流れ込む資金が多くあることが分かると思います。)
さてフィデリティのUSリートや新光US-REITがなぜ資金を多く集められるのか?それは両ファンドともに年間24%近い分配金を出しているからです。「年間24%の分配金」と聞けば、飛びつきたくなる気持ちもわかりますが、この分配金はすべてファンドの運用で得た利益から出ているわけではなく、足りない分を元金(投資家から集めた資金)からくずして出しているのです。
当然ですが、現在の運用状況でそんなことを続けていれば、ファンドの運用資金が無くなってしまいますので、いずれ分配金を減らすことになります。つまり、この年間24%近い分配金はいつ終了してもおかしくないということであり、決してこれを目的に購入してはいけないのです。詳しい説明は、「毎月分配型投資信託が損するしくみ」に書いていますが、基本的に毎月分配型の投資信託は損をするようにできているので、個人的にはおすすめできません。
もし、米国リートが投資対象として魅力的だと感じていらっしゃるのであれば、運用にかかるコストが低いREIT型のインデックスファンドを購入しましょう。私がおすすめするのは「三菱UFJ国際-eMAXIS 米国リートインデックス」です。購入時の手数料が無料のうえ、分配金も利益が出ないと出さない方針なので、預けた資産を効率よく運用してもらえます。他にも、米国リートを中心に先進国のリートに投資している「三菱UFJ-eMAXIS先進国リートインデックス」「三井住友TAM-SMT グローバルREITインデックス・オープン」などもおすすめです。
この記事の執筆者
やさしい投資信託のはじめ方編集部
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