つみたてNISAの複利【効果ない?嘘なの?デメリットは?】
「複利効果」とは、得られたリターンを元本に加えて運用することで、利益が利益を生んでいく効果のことです。この効果を活かせるように、つみたてNISA対象銘柄には「毎月分配型でないこと」という要件が設けられています。
このページでは、「つみたてNISA・投資信託の複利効果」、「効果ない?嘘なの?」といった内容を解説しています。
つみたてNISA・投資信託の複利効果とは
つみたてNISA(積立NISA)や投資信託の「複利効果」は、分配金が支払われないことにより得られる効果として説明されます。
運用によって得られた投資成果が分配金として支払われるのではなく、そのままファンド内で運用され続けることにより、利益が利益を生むことになるのです。
以下のグラフは、「毎月1万円の積み立て」、「リターンが年率5%」の場合の運用成果について「複利運用※1」と「単利運用※2」で比較したものです。
※1)リターンを元本に加えて運用すること
※2)リターンを元本に加えないで運用すること
30年後には約430万円の差が生じるとシミュレーションされています。
このように、分配金が支払われず複利運用される投資信託のほうが効率良く資産形成できるため、つみたてNISA対象銘柄には「毎月分配型でないこと」という要件が設けられています。
【効果ない?嘘なの?】実感できない原因
「複利って、実は効果ないんじゃないですか?嘘なんじゃないですか?」とおっしゃる方がいます。実感できない原因は、複利効果が期待リターンによって説明されることが多く、実際の運用成果との間にギャップがあるためでしょう。
「つみたてNISA・投資信託の複利効果とは」の章でも紹介しましたが、SBI証券には以下のように説明されているページがあります。
しかし、これはあくまでもリターンの期待値を年率5%と仮定した場合のイメージ図です。
投資信託は、確実なリターンが保証されているものではありません。したがって、実際は図のような運用成果にならず、上下にブレが生じてタイミングによっては元本割れになるときもあるのです。
イメージ図を鵜呑みにしてしまうと「複利効果なんてない。嘘じゃないか。」と肩を落としてしまう原因になるので、ご注意ください。
複利の仕組みとデメリット
複利効果のデメリットは、利益を拡大させるだけでなく、損失も拡大させることです。
たとえば、評価額100万円のファンドが投資先から5万円の配当を得たケースを想像してください。配当をファンド内で再投資した場合を「パターンA」、配当全額を分配金として投資家に支払った場合を「パターンB」とします。
ファンドの評価額(投資先の株価)が10%下落すると、以下のようになります。
比較項目 | パターンA (複利運用) |
パターンB (単利運用) |
---|---|---|
下落前の評価額 | 1,050,000円 | 1,000,000円 |
下落幅 (下落前の評価額 ×10%) |
105,000円 | 100,000円 |
下落後の評価額 (下落前の評価額 -下落幅) |
945,000円 | 900,000円 |
受け取った分配金 | – | 50,000円 |
評価額+分配金 | 945,000円 | 950,000円 |
このように、価格が下落してリターンがマイナスとなる場合は、複利運用のほうが資産を大きく減らしてしまうことになるのです。
預貯金のように、元本が確保されているうえで利息をもらえるのであれば、利益が利益を生むサイクルが続きます。しかし、つみたてNISA・投資信託の複利効果は「利益が利益を生み続けるわけではない」のです。こういった仕組みをあらかじめ理解しておきましょう。
複利効果を活かすには
ここまで、つみたてNISAの複利効果について「実感できない原因」や「デメリット」を解説してきました。しかし、複利効果は、つみたてNISAを利用するにあたって、重要なポイントとなります。
なぜなら、つみたてNISAは、投資信託を長期保有することで、平均するとプラスリターン(2~8%)に収まると期待されることが前提になっているからです。
時には、投資信託の価格が下がってしまうこともありますが、長い目で見れば、右肩上がりとなることが期待されるため、複利効果を活かしたほうが良いのです。
以下のグラフは、運用期間が長い全世界株式型インデックスファンド「eMAXIS全世界株式インデックス」の価格推移です。
このように、広範囲に分散された投資信託を長期保有すれば、価格は右肩上がりとなります。
複利効果を活かすには、目先の値動きに一喜一憂せず、長期にわたって投資を続けましょう。
つみたてNISAの複利効果は、運用によって得られた投資成果が分配金として支払われるのではなく、そのままファンド内で運用され続けることにより、利益が利益を生むことを意味します。
複利効果には、利益を拡大させるだけでなく、損失も拡大させるデメリットがあります。しかし、長期投資は平均するとプラスリターンに収まる傾向があるため、ぜひ複利効果を活かしてください!
この記事の執筆者
やさしい投資信託のはじめ方編集部
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